士業の開業前に確認したいWeb資産管理|ドメイン・WordPress・Googleの権限

士業の開業前に確認したいWeb資産管理|ドメイン・WordPress・Googleの権限

開業準備中、制作会社から「ドメインやGoogleアカウントもこちらで作成しましょうか」と尋ねられることがあります。事務所名の検討、名刺の準備、業務環境の整備が重なる時期には、まとめて任せたほうが早いと感じるかもしれません。

しかし、サイト制作を委託することと、契約情報、管理権限、支払方法、アカウントの復旧手段まで委託先だけが管理することは別の問題です。公開後に担当者が変わったときや、別の制作会社へ依頼するとき、誰が各サービスを操作できるのか分からなければ、確認や引き継ぎに時間がかかる可能性があります。

本記事では、士業固有の開業制度やWebサイトに関する法的な所有権の判断ではなく、開業後もサイト運用を続けられるようにするため、Web制作・業務システム側で用意したい管理台帳、アカウント、権限、復旧経路を扱います。

「サイトは自分のもの」だけでは管理状況を判断できない

契約者・登録者・管理者・支払者は別々に確認する

ホームページ制作を発注し、制作費を支払ったとしても、それだけではドメインやサーバーの管理状況までは分かりません。Webサイトを動かすサービスごとに契約や権限の仕組みが異なるためです。

たとえば、開業者が制作費を支払っていても、ドメインを登録したレジストラのアカウントは制作会社が管理している場合があります。WordPressへ記事を投稿できても、プラグインやユーザーを管理できるAdministrator権限は持っていないかもしれません。Google Analyticsのレポートを閲覧できても、利用者を追加・削除する権限が付いているとは限りません。

そこで、「誰のサイトか」という一つの問いを、次の五つに分けて確認します。

  • 誰がサービスの契約者か
  • 誰またはどの組織がドメインの登録者か
  • 誰が設定変更やユーザー管理を行えるか
  • 誰が更新料や利用料を支払うか
  • ログインできなくなったときに誰が復旧できるか

この五つが同じ人になるとは限りません。制作会社が日常の更新を担当し、開業者が契約と支払いを管理する役割分担も可能です。重要なのは、制作会社に任せること自体を避けることではなく、任せる範囲と開業者側に残す管理経路を事前に決めることです。

Webサイトを構成する資産を分けて考える

開業前に最低限分けて確認したい対象は、ドメイン、サーバー、WordPress、Googleアカウント、Google Analyticsなどの関連サービスです。

ドメインは、Webサイトの住所に当たる文字列です。サーバーは、サイトのデータを置いて公開するための利用環境です。WordPressはサイトの文章やページなどを管理するシステムであり、GoogleアカウントはGoogle Analyticsなどを利用する入口になります。これらは相互に関係しますが、通常は契約先やログイン画面、料金、権限体系が別です。

なお、ドメインの登録者になっていることやWordPressのAdministrator権限を持っていることが、サイト内の文章、写真、イラスト、テーマなどの著作権やライセンス上の権利を当然に確定させるわけではありません。権利の帰属は制作契約や各素材の利用条件にも関係します。個別の法的判断が必要な場合は、契約書を確認したうえで、該当分野の専門家へ相談してください。本記事では、その判断に必要な情報を探せるよう、管理対象と確認場所を整理します。

開業前に作る「Web資産管理台帳」の項目

最初の台帳は60〜90分を目安に作る

開業前は、サイト運用の実績や引き継ぎ資料がまだありません。制作が進んでから情報を集め直すよりも、契約前またはアカウント作成時に、表計算シートなどで「Web資産管理台帳」を作るほうが整理しやすいと考えられます。

最初から詳細なマニュアルを作る必要はありません。まず利用予定のサービス名を書き出し、誰が何を管理するかを埋めます。目安として60〜90分を確保し、分からない欄には推測を書かず「制作会社へ確認」「サービス未定」などと記載してください。

記入例は次のとおりです。

対象 契約・登録 管理 支払 復旧 契約終了時の対応
ドメイン 登録者、レジストラ、契約メール 設定を変更できるアカウント 更新料の支払者、支払方法 復旧先、二要素認証の管理者 移管の条件、必要な手続き
サーバー 事業者、契約者、契約メール 管理画面へ入れる人 利用料の支払者、請求先 復旧先、二要素認証 データとバックアップの返却条件
WordPress 対象サイト、単一・マルチサイトの別 開業者側と制作会社側の役割 保守費等があれば記録 管理者アカウント、関連メール 制作会社用ユーザーの削除時期
Googleアカウント 作成者、利用目的、個人向け・組織管理の別 ログインできる本人 有料契約があれば記録 復旧用電話番号、復旧用メール 認証情報と復旧先の見直し
Google Analytics アカウント・プロパティ 開業者側と制作会社側の権限 通常は該当なし 管理者として操作できる人 制作会社ユーザーの変更・削除
制作契約 契約当事者 引き継ぎ担当者 制作費、保守費 緊急時の連絡先 移管、返却、削除、権利・ライセンス

台帳には、ログインに使うメールアドレスやアカウントの保管場所を記録できます。一方、パスワードをそのまま平文で記載すると、台帳を閲覧した人が各サービスへログインできてしまいます。パスワードそのものを記載するかどうかは保管方法を踏まえて判断し、少なくとも共有範囲を決めてください。

ドメインとサーバーで記録する項目

ドメインについては、ドメイン名だけでなく、登録者、利用しているレジストラ、契約に使ったメールアドレス、更新方法、支払情報、復旧先、二要素認証を管理する人を記録します。

サーバーについては、事業者名、契約者、請求先、ログイン用メールアドレスに加え、バックアップの取得方法とデータ返却条件も確認します。制作会社が契約するプランの一部を利用する場合と、開業者がサーバー事業者と直接契約する場合では、契約終了時の手続きが異なる可能性があるためです。

WordPressとGoogleサービスで記録する項目

WordPressでは、開業者側のAdministratorアカウントがあるか、制作会社にはどの役割を付与するか、委託終了時に誰がアカウントを削除するかを記録します。

Googleアカウントについては、作成者、利用目的、復旧用電話番号、復旧用メールアドレスを確認します。Google Analyticsでは、対象となるアカウントやプロパティ、開業者側のAdministrator、制作会社側のユーザー、付与したアクセス範囲を分けて記録してください。

「制作会社が設定済み」という記述だけでは、開業者がどの権限を持っているか分かりません。台帳と実際の管理画面を照合し、メールで招待を受けただけの場合も、付与された役割まで確かめることが大切です。

ドメインとサーバーは契約・更新・移管の経路を確認する

ドメインでは登録者とレジストラのアカウントを確認する

ICANNは、ドメイン名の登録者を、ドメイン名を登録する個人または組織と説明しています。登録者はレジストラとの契約当事者となり、登録後の設定はレジストラを通じて管理します。また、登録者情報やレジストラのアカウント情報を最新に保ち、自動更新を利用する場合は支払情報も更新しておく必要があると案内しています。

開業前には、利用するレジストラの管理画面または申込内容で、次の箇所を確認します。

  1. 登録者情報の氏名または組織名
  2. レジストラへのログインに使うメールアドレス
  3. パスワード再設定などに使う復旧先
  4. 二要素認証を受け取る端末または認証手段
  5. 自動更新の設定と、更新料を支払う方法
  6. ドメイン移管に関する規約や管理画面の案内

登録者を自然人、個人事業、事務所、将来設立する法人のどれにするかは、開業形態とレジストラの契約条件によって判断が変わります。「本人名義」という言葉だけで決めず、登録画面の項目と利用規約を確認してください。

編集部では、開業者本人または開業者が管理する事業主体を登録者および契約主体とし、開業者側で連絡先や復旧経路を管理する設計は、委託先を変更した後も管理を続けやすいと考えます。ただし、これは管理実務上の見解であり、法的な所有権や商標権まで確定するという意味ではありません。

登録者の変更、移管ロックの解除、認証コードの取得、失効後の復旧など、具体的な手続きはレジストラやドメインの種類によって異なります。利用予定のサービスが決まったら、そのサービスの規約と管理画面で該当項目を確認してください。

サーバーでは請求先とデータ返却条件まで見る

サーバーはドメインとは別のサービスです。ドメインを開業者が登録していても、サーバーは制作会社が契約していることがあります。その反対もあり得ます。

サーバー事業者が未定の段階では、契約者変更やデータ返却の手順を一律には示せません。見積書や制作契約を確認するときは、少なくとも次の質問を制作会社へ伝えます。

  • サーバー事業者と直接契約するのは誰か
  • 管理画面へ入れるアカウントは開業者側にも発行されるか
  • 更新料や保守費は誰から誰へ支払うか
  • 契約終了時にサイトデータとデータベースの提供を受けられるか
  • バックアップは誰が、どの頻度で、どこに保管するか
  • 別のサーバーへ移す場合、どこまでが制作費や保守費に含まれるか

データ返却や移行作業の範囲は契約内容に関係します。「一般的には返してもらえるはず」と推測せず、契約書、見積書、運用確認書など、後から参照できる形で合意内容を残してください。契約条項の法的な評価は個別事情によるため、必要な場合は専門家へ確認します。本記事では、その前段階として、Web制作側で確認したい項目を整理しています。

WordPressとGoogleはパスワード共有ではなく権限を分ける

WordPressは作業内容に応じて役割を設定する

WordPressには、ユーザーごとに役割を割り当て、実行できる操作を制御する仕組みがあります。公式ドキュメントでは、Super Admin、Administrator、Editor、Author、Contributor、Subscriberという六つの定義済み役割が説明されています。

単一サイトの標準的な構成では、Administratorはサイトの管理機能全般へアクセスできます。Editorは、他のユーザーが作成したものを含む投稿や固定ページを公開・管理できますが、標準状態ではプラグインのインストールやユーザー作成などの管理機能を持ちません。

開業前の運用では、開業者と制作会社が同じIDとパスワードを使うのではなく、開業者側の管理用アカウントを確保したうえで、制作会社や担当者ごとにユーザーを分ける方法があります。個別アカウントなら、担当者が変わったときに対象のユーザーだけを削除したり、役割を変更したりできます。

記事の入稿や文章修正だけを依頼する場合は、Editorなどで対応できる可能性があります。一方、テーマ、プラグイン、ユーザー、サイト全体の設定を扱う作業にはAdministratorが必要になる場合があります。必要な権限は、委託する作業、利用するプラグイン、ホスティング構成によって異なるため、役割名だけで一律に決めることはできません。

また、WordPressの単一サイトとマルチサイトではAdministratorの権限範囲が異なります。マルチサイト全体の管理にはSuper Adminが関係するため、制作会社へ「このWordPressは単一サイトか、マルチサイトか」「依頼する作業に必要な役割は何か」を確認してください。

Googleアカウントの復旧手段は開業者側で管理する

Googleは、ログインできなくなった場合に備え、Googleアカウントへ復旧情報を設定するよう案内しています。復旧用電話番号には、本人だけが所有し、日常的に使って手元に置く携帯電話番号を使用すること、復旧用メールアドレスには、対象アカウントへのログインに使うものとは異なる日常利用中のアドレスを選ぶことが案内されています。

Googleアカウントを制作会社が代理で作成する場合でも、次の箇所は開業者自身が画面を開いて確認します。

  1. Googleアカウントの「セキュリティ」を開く
  2. 復旧用電話番号が自分で管理する番号か確認する
  3. 復旧用メールアドレスがログイン用とは別のアドレスか確認する
  4. 二段階認証を利用する場合は、認証手段を誰が管理するか確認する
  5. 制作会社だけが受け取れる連絡先や認証手段が残っていないか確認する

復旧情報や認証要素を変更した後、以前の情報へ最大7日間コードが送られる場合があります。担当者との契約が終わる当日ではなく、公開前または引き継ぎ期間中に余裕を持って確認するほうがよいと考えられます。

なお、Google Workspaceなど組織が管理するアカウントでは、個人向けGoogleアカウントと手順が異なる場合があります。管理画面に同じ項目が見当たらないときは、組織の管理者またはGoogleの公式ヘルプで対象アカウントの手順を確認してください。

Google Analyticsは制作会社をユーザーとして追加する

Google Analyticsでは、Googleアカウントのパスワードを制作会社へ共有しなくても、制作会社のGoogleアカウントをユーザーとして追加できます。ユーザーはアカウント単位またはプロパティ単位で追加でき、アカウント単位で付与した権限は配下の全プロパティへ及びます。プロパティ単位で追加した場合は、アクセス範囲をそのプロパティに限定できます。

ユーザーの追加や変更には、対象のアカウントまたはプロパティにおけるAdministrator権限が必要です。そのため、制作会社から「閲覧できるようにしました」と連絡を受けたら、表示確認だけで終えず、開業者側がAdministratorになっているかを確認します。

Google Analyticsの管理画面では、対象のアカウントまたはプロパティの管理メニューからアクセス管理を開き、次の点を照合します。

  • 開業者が管理するGoogleアカウントが登録されているか
  • 開業者側にAdministrator権限があるか
  • 制作会社のメールアドレスが個別ユーザーとして登録されているか
  • 制作会社のアクセス範囲がアカウント全体か、対象プロパティだけか
  • 委託終了時に変更または削除するユーザーが分かるか

最後のAdministratorであるユーザーは自分自身を削除できないという仕様もあるため、管理者を交代するときは、新しい管理者を追加して権限を確認してから変更作業を進めます。

この権限分離の説明はGoogle Analyticsについて確認された内容です。Search Console、Googleビジネスプロフィール、Google広告、Tag Managerなど、ほかのGoogleサービスでは設定項目や権限体系が異なる場合があります。それぞれの公式ヘルプと管理画面で確認してください。

まとめ|公開前に4つの管理経路を点検する

開業前のWeb資産管理で優先したいのは、「サイトは自分のものか」という抽象的な確認を、管理画面と契約書で確かめられる項目へ置き換えることです。

まず、表計算シートなどに利用予定のドメイン、サーバー、WordPress、Googleアカウント、Google Analyticsを書き出してください。そのうえで、各サービスについて次の四つを記入します。

  1. 誰が契約者または登録者か
  2. 誰がAdministratorなどの管理権限を持つか
  3. 誰がアカウントを復旧できるか
  4. 誰が更新料や利用料を支払うか

次に、管理台帳と実際の申込画面、管理画面、制作契約を照合します。空欄があれば、サイト公開前に制作会社へ質問し、回答をメールや運用確認書などの参照できる形で残します。

制作契約書または運用確認書では、ドメイン移管の条件、サーバーデータとバックアップの返却条件、制作会社用アカウントの削除時期、委託終了時の担当者と手順を確認します。文章、画像、テーマ、プラグインなどの権利やライセンスについても、管理権限とは別の欄で扱ってください。

今日から取れる具体的な行動は、利用予定サービスを一列に並べ、60〜90分で管理台帳の初版を作ることです。「契約者」「管理者」「復旧」「支払」のいずれかが不明なら、その項目を次回の制作打ち合わせの質問事項に加えます。契約条件や法的権利の判断が必要な箇所は、契約書の該当条項を示したうえで、必要に応じて該当分野の専門家へ相談してください。

出典一覧

  1. ICANN「Registrants’ Benefits and Responsibilities」(2013-09-16)
  2. WordPress.org「Roles and Capabilities」(確認日:2026-08-02)
  3. Google Account Help「Set up recovery options」(確認日:2026-08-02)
  4. Google Analytics Help「Add, edit, and delete Analytics users and user groups」(確認日:2026-08-02)

この記事はAIが生成し、編集長のチェックを受けて公開しています。

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