行政書士のホームページ集客は何を専門にする?取扱分野を選ぶ5つの確認手順

行政書士のホームページ集客は何を専門にする?取扱分野を選ぶ5つの確認手順

ホームページを作ろうとして取扱業務を書き出したものの、建設業許可、在留資格、相続など、どれを前面に出すべきか決められないことがあります。開業直後で受任実績が少なければ、検索数が多そうな業務や報酬額が高い業務から選びたくなるかもしれません。

しかし、検索数は問い合わせ数ではなく、受領する報酬額も利益そのものではありません。さらに、業務によっては資格、研修修了、届出などの確認が必要です。

この記事では特定の分野を「集客しやすい」と推奨するのではなく、ホームページへ掲載する候補を絞り、公開後の結果まで検証する手順を扱います。候補を比較する表と計測項目を用意すれば、判断を勘だけに頼らず、集客施策として見直せるようになります。

行政書士のホームページ集客で「扱える業務」をすべて並べない

日本行政書士会連合会は、行政書士の業務として、官公署へ提出する書類の作成や提出手続の代理、権利義務や事実証明に関する書類の作成などを案内しています。官公署へ提出する書類の多くは許認可に関するもので、その種類は「1万種類を超えるとも言われます」と説明されています。ただし、この数の算定根拠や基準日は案内ページでは確認できません。

業務範囲が広いことと、ホームページですべての業務を同じ強さで訴求することは別の問題です。たとえば、トップページに十数種類の業務名を並べ、問い合わせフォームでは「相談内容」という自由記述欄だけを設けた場合、どの業務のページが相談のきっかけになったのか把握しにくくなります。

多数の業務を同列に掲載すると、次のような違いも見えにくくなると考えられます。

  • 検索結果には表示されたものの、ページへ訪問されなかった業務
  • ページは読まれたものの、問い合わせに至らなかった業務
  • 問い合わせはあったものの、対象外の相談が多かった業務
  • 受任できたものの、想定以上に時間や直接費がかかった業務

ただし、掲載する業務を絞れば検索順位や問い合わせ数が上がると断定することはできません。ホームページへ掲載する最適な業務数についても、すべての行政書士事務所に共通する公的な基準は確認できていません。

大切なのは、最初から一つの「正解」を決めることではなく、候補ごとの結果を識別できる状態にすることです。開業直後なら、まず管理できる数の候補を選び、分野別のページと問い合わせ項目を用意します。すでにサイトを運営している場合は、最も相談してほしい業務がトップページから分かるか、分野ごとの問い合わせ結果を判別できるかを確認してください。

最初に資格・届出とホームページ表示の適否を確認する

検索需要や報酬額を比較する前に、候補業務を適法に受任できるか確認します。日本行政書士会連合会の案内では、他の法律で制限されている業務を行政書士は行えないとされています。また、出入国関係の申請取次業務は届出を行った申請取次行政書士が対象で、行政不服申立てに関する代理業務は所定の研修を修了した特定行政書士が対象です。

具体的な受任可否や表示の適否は、個別事情、登録・届出状況、所属会の規則などによって異なり得ます。候補業務ごとに所属する都道府県行政書士会や関係機関へ確認し、必要に応じて有資格者による個別判断を行ってください。本記事では制度要件の解釈や申請可否の判断ではなく、確認結果をホームページの掲載設計へ反映する方法を扱います。

候補業務ごとに受任可能性を確認する

候補を一覧にしたら、少なくとも次の項目を分けて記録します。

確認項目 記録する内容
候補業務名 ホームページで訴求したい具体的な業務
業務範囲 行政書士が取り扱える範囲の確認先
他法令による制限 確認済み、追加確認中、未確認
資格・研修・届出 必要な条件と、自身の充足状況
所属会等への確認 確認先、確認日、回答内容
掲載判断 公開可能、確認後に公開、現時点では保留

未確認の業務を検索数だけで上位候補にしても、受任できなければページ制作や広告出稿が無駄になる可能性があります。「確認中」は不合格を意味しません。集客候補として評価する前に保留し、確認が完了してから次の比較へ進めます。

「専門」「得意」と書く前に根拠を整理する

ホームページで「専門」「得意」と表示するなら、実務経験、関連業界での勤務経験、相談対応経験、説明できる知識、公開可能な実績を棚卸しします。

経験や実績が乏しい分野について、どのような表現なら掲載できるかは今回の資料だけでは判断できません。所属する都道府県行政書士会の規則や広告関連規定を確認し、具体的な表示の適否は所属会などへ照会してください。

Web制作会社へ依頼する場合も、制作側に受任可否や表示の適否を判断させないことが重要です。行政書士側が確認する項目と、制作側がページや計測へ実装する項目を分けておくと、役割の混同を防ぎやすくなります。

検索需要・経験・採算を分けて候補分野を比較する

受任可能性を確認できたら、「検索需要」「経験と適合性」「受任後の採算」を分けて比較します。この3軸は公的機関が定めた選定基準ではなく、確認できた事実をホームページ集客へ接続するための編集部案です。

各指標は意味も単位も異なります。月間検索回数、経験年数、報酬額を根拠なく点数化し、合計点だけで順位を決めると、検索数や平均報酬額の大きさを過大評価するおそれがあります。まず受任可能性を満たさない候補を保留し、残った候補について各項目を個別に見てください。

検索需要は同じ地域・期間・条件で調べる

Google広告のキーワードプランナーでは、月間平均検索ボリューム、競合性、ページ上部掲載広告の入札単価などを確認できます。月間平均検索ボリュームは、指定した期間、地域、検索ネットワークにおけるキーワードと類似パターンの平均検索回数です。初期設定では過去12か月の平均が表示されます。

ただし、検索ボリュームは概数です。季節やイベントの影響を受け、対象地域を狭くすると基礎データが少なくなり、予測精度が低くなる可能性もあります。検索回数は、問い合わせ数や受任数を示す数字ではありません。

候補を比較するときは、少なくとも次の条件をそろえます。

  • 対象地域
  • 調査期間
  • 検索ネットワーク
  • 候補キーワードの作り方
  • 類似パターンの扱い

月間平均だけでなく月別推移も確認し、季節による変動がないか記録します。今回の取材では「建設業許可」「在留資格」「相続」などの個別の検索ボリュームを取得していないため、どの分野の需要が大きいかは判断できません。

競合性や入札単価が高いことも、受任単価や利益の高さを意味しません。これらは候補者が検索している可能性を把握する材料として使い、成果の予測値とは分けて扱います。

経験と説明できる知識を棚卸しする

候補業務ごとに、実務経験、関連業界での経験、相談対応経験、顧客へ説明できる内容を書き出します。開業直後で行政書士としての受任実績が少ない場合でも、前職で接してきた業界、顧客から受けた質問、公開情報を基に説明できる範囲は整理できます。

Google検索セントラルは、人を第一に考えたコンテンツの確認項目として、想定読者の存在、実体験に基づく専門性や深い知識、サイトの主目的や焦点を挙げています。一方、検索流入を得ることだけを目的に多数のテーマを扱うことや、実際の専門性がないニッチ分野へ参入することは、見直しを促す兆候とされています。

これは、経験のある分野を選べば検索順位や問い合わせが増えるという意味ではありません。Googleも、E-E-A-Tを単独のランキング要因とは説明していません。経験と知識の棚卸しは、検索結果を保証するためではなく、相談者へ具体的で有用な情報を継続して提供できるかを確認するために行います。

報酬額ではなく自事務所の採算を確認する

日本行政書士会連合会によると、行政書士の報酬額は各行政書士が定めます。同会は5年に1度、全国的な報酬額統計調査を実施しており、同じ業務でも具体的な取扱内容などによって報酬額に大きな差が生じると説明しています。

令和7年度報酬額統計調査では、たとえば次の結果が示されています。金額は消費税込みで、立替金を含みません。

業務 回答者数 平均額 最頻値
建設業許可申請(法人・新規・知事) 512人 151,341円 165,000円
建設業許可申請(法人・更新・知事) 767人 82,408円 55,000円
在留資格認定証明書交付申請(就労資格) 194人 120,174円 110,000円
在留資格認定証明書交付申請(経営・管理) 103人 207,563円 220,000円

業務ごとに回答者数、平均額、最頻値が異なることは分かります。しかし、この統計には処理時間、相談時間、移動時間、外注費、再提出への対応時間、顧客獲得費、成約率などは示されていません。平均報酬額が高い業務ほど利益が大きいとは判断できず、統計値を自事務所の価格へそのまま置き換えることもできません。料金設定の適否は、事務所の実態と関係規則を踏まえて読者自身で判断してください。

採算を比べるには、受領報酬額だけでなく、案件ごとに次の項目を記録します。

  • 直接費
  • 初回相談時間
  • 書類作成と確認に要した時間
  • 移動時間
  • 再提出や追加対応に要した時間
  • 外注の有無と費用
  • 顧客獲得経路
  • 継続手続や関連受任の有無

編集部案として、「受領報酬額-直接費-投入時間に応じた人件費相当額」のような事務所独自の基準を置く方法があります。これは日本行政書士会連合会が定めた採算計算式ではありません。人件費相当額を含む計算条件を事務所内で統一し、同じ基準で案件を比較するためのものです。

候補分野ごとにページと問い合わせ結果を小さく検証する

受任可能性と経験を確認できた候補から、管理できる範囲で掲載を始めます。最適な候補数に公的な統一基準はありませんが、開業直後なら候補を3件程度書き出し、制作時間と予算を見ながら優先順位を付ける方法が実行しやすいと考えられます。

着手順序は、次のとおりです。

  1. 候補業務ごとに受任可能性と表示表現を確認する
  2. 検索需要、経験、報酬・工数を別々の欄へ記録する
  3. 優先候補のページを用意する
  4. 問い合わせフォームで相談分野を選べるようにする
  5. 公開日から表示、訪問、問い合わせ、面談、受任を記録する

公開時には、分野別ページのURLを分けるか、フォームに「相談したい業務」の選択欄を設けます。自由記述だけに頼らず、どのページや分野から問い合わせが発生したか識別できるようにします。

公開前に最低限の計測項目を決める

最初から多くの項目を記録すると、通常業務に追われて入力が続かなくなる可能性があります。まずは次の項目から始めます。

段階 最低限記録する項目
検索 分野別の表示回数、クリック数
問い合わせ 日付、対象分野、流入ページ
面談 実施の有無、相談内容との適合
受任 受任の有無、対象業務
業務処理 作業時間、直接費、追加対応
見直し 継続、修正、停止の判断

検索結果での表示回数やクリック数はGoogle Search Consoleなどでページ別に確認できます。問い合わせ、面談、受任、処理時間は、表計算シートや案件管理表で同じ業務名を使って記録します。

分析表には、相談者を識別するために不要な氏名、住所、相談内容の詳細を書き込まない運用が必要です。個人情報の具体的な管理方法や法的要件は今回の調査範囲に含まれないため、実装時は使用するツールの設定や関係する規程を別途確認してください。

問い合わせ数と受任数を混同しない

「問い合わせが5件あった」という数字だけでは、集客分野として適しているか判断できません。5件のうち、対象業務に合う相談が何件あり、面談へ進んだのが何件で、実際に受任したのが何件かを分けます。

さらに、受任後の処理時間と直接費も確認します。問い合わせが多くても対象外の相談が中心なら、ページの説明や対象者の示し方を修正する余地があります。受任が多くても追加対応が集中しているなら、集客導線ではなく業務工程や掲載内容を見直す必要があると考えられます。

検証期間にも一律の正解はありません。検索需要には季節変動があるため、数週間の結果だけで停止を決めると、需要を十分に評価できない可能性があります。対象地域、業務の季節性、公開前からのサイト流入状況を記録し、同じ条件で比較してください。

月次レビューで掲載の継続・修正・停止を判断する

月に一度、候補分野ごとの検索表示、訪問、問い合わせ、面談、受任、処理時間、直接費を同じ表で確認します。数字が伸びていないという結果だけで原因を決めつけず、どの段階で止まっているかを見ます。

状態 次に確認する項目 判断例
検索表示が少ない 検索需要、対象地域、検索語、ページ内容 調査条件とページの対象を見直す
表示はあるが問い合わせが少ない 想定顧客との適合性、説明内容、問い合わせ導線 誰向けのページか、依頼前の疑問に答えているかを確認する
問い合わせはあるが受任が少ない 相談内容の適合性、対応条件、説明方法 対応範囲や必要資料の示し方を見直す
受任はあるが採算が合わない 報酬、直接費、相談・移動・追加対応の工数 工程ごとの時間と追加対応の発生箇所を確認する
採算は合うが処理能力が不足する 受付件数、業務工程、対応範囲 受付方法や対応可能件数を見直す

たとえば、検索表示が少ないときに、すぐ問い合わせフォームを作り直しても原因と修正箇所が一致しない可能性があります。反対に、表示や訪問があるのに問い合わせが少ないなら、検索需要だけを再調査するより、ページ内の対象者、対応範囲、費用の考え方、問い合わせまでの操作を確認する方が次の判断材料になります。

一つの指標だけでは、継続・修正・停止のどれが適切か断定できません。前月と同じ条件で記録できているかも確認し、変更した箇所とその日付を残してください。変更を重ねる場合も、ページ内容、対象地域、フォームなどを一度にすべて変えると、どの変更が結果に関係したか分かりにくくなります。

まとめ

行政書士のホームページ集客では、「検索数が最大の分野」や「平均報酬額が最も高い分野」を探すだけでは、自事務所に合う取扱分野を判断できません。受任可能性と表示表現を確認したうえで、検索需要、経験・知識、報酬・工数を別々に比較し、公開後の実測値で見直すことが重要です。

今日から着手するなら、次の順序で進めてください。

  1. ホームページへ掲載中、または掲載候補の業務を3件程度書き出す
  2. 各候補の資格・研修・届出、他法令による制限、表示表現の根拠を確認する
  3. キーワードプランナーで地域、期間、検索ネットワークをそろえて検索需要を調べる
  4. 実務経験、説明できる知識、自所の報酬額、直接費、処理時間を別々の欄へ記録する
  5. 問い合わせ、面談、受任、処理時間を分野別に記録する簡易表を作る
  6. 月次で各段階を確認し、候補ごとに掲載の継続・修正・停止を判断する

まず見るべき場所は、ホームページの業務一覧、問い合わせフォーム、Google広告のキーワードプランナー、検索表示を確認するSearch Console、案件別の工数記録です。この5か所の業務名をそろえると、検索から受任後までを一つの流れとして比較しやすくなります。

出典一覧

  1. 日本行政書士会連合会「行政書士の業務」(確認日:2026-08-08)
  2. 日本行政書士会連合会「報酬額の統計」(確認日:2026-08-08)
  3. 日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(確認日:2026-08-08)
  4. Google広告ヘルプ「キーワード プランナーの予測について」(確認日:2026-08-08)
  5. Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」(2025-12-10)

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