Googleの生成AIで士業広告は作れる?行政書士が残すべき確認工程

Googleの生成AIで士業広告は作れる?行政書士が残すべき確認工程

事務所の集客を始めたいものの、広告文を考え、画像を用意し、Webサイトまで更新する時間が取れない。そこで生成AIを使いたくても、表示された案をどこまで信用してよいのか迷う行政書士は少なくないでしょう。
たとえば、AIが「最短で許可を取得」「高い採択実績」といった案を出しても、そのまま広告へ掲載できるとは限りません。画像についても、官公庁との関係や保有資格を実態以上に見せてしまう可能性があります。
Googleは広告素材の生成や、事業情報に基づく販促案の作成を支援する機能を提供しています。ただし、AIが広告の正確性や公開可否まで判断してくれるわけではありません。
本記事では、個別の広告表現が法令や職業上の規則に適合するかを判断するのではなく、Googleの生成AIを広告制作の初稿に利用するために、Web・広告運用側でどのような確認工程を用意するかを扱います。

Googleの「The Small Brief」と一般向けAI広告機能は別のもの

「The Small Brief」で実施されたこと

Googleは2026年5月8日、「The Small Brief」という広告制作企画を発表しました。広告業界のクリエイター3名が、それぞれ選んだ地域企業の広告キャンペーンを制作し、その過程でGoogleのAIクリエイティブスタジオ「Flow」を利用する企画です。対象企業はArchangels、South Ferry、Stonewood Farmの3社でした。

ここで注意したいのは、「The Small Brief」が一般の中小企業や士業事務所から申し込める支援制度、または広告制作サービスとして発表されたものではない点です。公式発表から確認できるのは、AIを使って地域企業の広告を制作する企画が実施されたことです。

したがって、「Googleが中小企業向けAI広告制作サービスを開始した」と捉えるのは正確ではありません。自分の事務所で利用できる機能を検討するときは、この制作企画と、Google AdsやGeminiで提供される一般向け機能を分けて考える必要があります。

また、同企画について、広告費、問い合わせ数、成約数、制作時間、費用の比較データは今回確認できていません。「The Small Brief」の事例だけを根拠に、AIを使えば士業広告の費用や制作時間を減らせる、広告成果が上がると判断することはできません。

一般の広告主が利用を検討できる生成AI機能

Google Ads公式ヘルプでは、プロンプトから新しい画像アセットを作成する生成AI機能が案内されています。日本語のプロンプトにも対応するとされていますが、子ども、著名人の肖像、入力として与えていないブランド品やロゴなど、生成が制限される内容があります。

Googleは2026年2月、Google Ads Asset StudioでNano BananaやVeo 3などを利用した広告素材の制作についても発表しました。ただし、Googleが示す「スタジオ品質」や制作速度に関する表現はGoogle自身による製品評価です。日本の士業広告としての正確性や適切性を保証するものではありません。

さらに、Googleは2026年6月、GeminiアプリとGoogleビジネスプロフィールを接続する機能や「Business notebooks」を発表しました。公式発表では、Geminiがレビュー、顧客からの質問、検索表示回数、経路検索、通話などの情報を参照し、レビュー返信案、プロフィールの更新案、事業情報に基づくコンテンツや販促クリエイティブ案を作成する利用例が示されています。

こうした機能は、事務所固有の情報を参照しながら初稿を考える用途に活用できる可能性があります。一方、公式情報からは、GeminiがGoogle Adsへの入稿、広告審査、配信、職業上の規則への適合確認まで自動的に完了するとは確認できません。

日本国内のすべてのアカウントでの提供状況、必要なプラン、料金、アカウント条件も今回の取材では確認できていません。導入を決める前に、実際に使うアカウントの画面と最新の公式ヘルプで提供状況を確認してください。

士業の広告制作でAIに任せられる作業、任せられない判断

AIに任せられる可能性があるのは「初稿と比較案」

広告制作で生成AIを利用しやすいのは、正解を決める工程ではなく、比較する候補を作る工程です。具体的には、次のような作業が考えられます。

  • 一つのサービス情報から広告文を複数案作る
  • Googleビジネスプロフィールへの投稿文を下書きする
  • 広告画像の構図やラフ案を作る
  • セミナーや相談会の告知案を比較する
  • レビュー返信の下書きを作る
  • 修正前後を比較するための言い換え案を作る

たとえば、開業直後の行政書士が「建設業許可申請の相談受付」を告知する場合、対応地域、相談方法、料金条件などの確認済み情報をAIへ渡し、見出しと説明文を3案ずつ作らせる使い方です。ここでは、生成数を増やすことより、各案を事実資料と照合できる状態にすることが重要です。

専任の制作担当者がいない場合、白紙から一案を考える負担を減らせる可能性はあります。ただし、確認と修正にかかる時間を含めなければ、実際に作業時間を削減できたかは判断できません。

人が残すべき確認工程

AIへ任せず、人が確認すべき項目は次のとおりです。

  • 事務所名、資格、所属、対応業務が事実と一致しているか
  • 料金、納期、対応地域、相談範囲が最新か
  • 掲載する実績に確認可能な根拠があるか
  • 結果保証や誇大表現と受け取られる記述がないか
  • 広告とリンク先のWebページで情報が一致しているか
  • 画像が資格、所属、官公庁との関係を誤認させないか
  • 職業団体の規則や適用法令について必要な確認を終えているか
  • 資格者または広告主が最終的な公開を承認したか

「AIが作った文章だから」「Googleの機能で生成した画像だから」という理由で、確認責任がなくなるとは確認できません。AIは公開責任を引き受ける主体ではなく、候補を作る道具として位置づけるのが現実的です。

Google Adsの審査通過だけでは判断できない

Google Adsの生成機能で作った素材にも、通常のGoogle Adsポリシーが適用されます。Googleは、生成された素材が広告審査で承認されるとは保証しておらず、広告主自身に正確性、誤認のおそれ、広告ポリシーや適用法令への適合を確認するよう求めています。

Googleの「Misrepresentation(不実表示)」ポリシーでは、事業者やサービスに関する重要情報を隠すこと、資格や所属について誤解を生じさせること、提供できないサービスを広告することなどが禁止されています。不正確な成果表示や、実現可能性が低い結果を一般的な成果のように示す表現も禁止対象です。

ただし、Google Adsの審査と、職業団体の規則や日本の適用法令に関する確認は別の工程です。審査に通過したことだけを根拠に、行政書士職務基本規則などにも適合していると判断することはできません。

行政書士のAI広告で確認したい表現と画像

行政書士職務基本規則を前提に確認する

日本行政書士会連合会の「行政書士職務基本規則」は2024年4月1日に施行されました。第17条では、ホームページやSNSを含む広告宣伝について、事実に合致しない広告、誤認または誤導のおそれがある広告、誇大な広告、品位を損なうおそれのある広告などを禁止しています。第15条では、不正または不当な手段による依頼誘致などが禁止されています。

AI生成物を誰がどの手順で確認するかについて、同規則に具体的な記載があるわけではありません。一方、AIが生成した広告なら規律の対象外になるとも記載されていません。

個別の広告が規則に適合するかどうかは、その表現、業務内容、根拠資料などによって異なります。判断に迷う場合は、所属する単位会などの適切な確認先へ相談してください。本記事では規則の解釈ではなく、その確認に必要な資料と承認工程をWeb・広告制作フローへ組み込む方法を扱います。

除外または再確認したい表現

生成案に次のような表現が含まれていた場合は、そのまま公開候補に残さず、根拠と受け取られ方を確認します。

  • 「必ず許可される」
  • 「採択率が上がる」
  • 「最短で取得できる」
  • 「確実に成功する」
  • 根拠を確認できない順位、実績、満足度
  • 実際には対応していない業務を扱えるように見せる表現
  • 官公庁から推薦、認定、承認を受けているように見せる表現
  • 実態と異なる資格名や所属を示す表現

禁止語だけを登録しても、確認は完了しません。「許可取得を確約」「成功へ最短で導く」など、同じ意味を持つ言い換えが生成される可能性があるためです。単語の有無ではなく、読者がどのような結果や関係性を受け取るかまで資格者が確認します。

生成画像では「実在性」と「権威性」を見る

画像は文章より短時間で印象を伝えるため、文字が正確でも画像によって誤認を招く場合があります。次の要素を一つずつ確認してください。

  • 行政書士徽章や証票に見えるもの
  • 官公庁の庁舎や窓口に見える背景
  • 実在の資格者や依頼者と受け取られる人物
  • 実在する事務所の内観や外観に見える画像
  • 使用許可を確認していないブランドロゴ
  • 証明書、認定証、表彰状に見えるもの
  • 官公庁や団体との提携、推薦、承認を連想させる配置

個別の画像要素を掲載できるかどうかは、具体的な画像や利用条件によって判断が異なります。所属会や権利者などへの確認が必要な場合は、公開前に確認してください。制作フロー上は、画像の生成時点ではなく、公開候補を選ぶ段階に「ロゴ・徽章・証票・人物・施設」の確認欄を設けると見落としを減らしやすくなります。

広告事実シートから始めるAI広告の試行手順

初めて試す場合、作業範囲は一つのサービスまたは一つの告知に絞ります。開業直後であれば、準備から初稿確認まで60〜90分程度の作業枠を先に確保し、追加費用が発生する機能は契約画面で料金を確認してから進める方法が現実的です。この時間は編集部が提案する試行枠であり、実際の所要時間を保証するものではありません。

ステップ1―広告に使える事実を固定する

まず、プロンプトを書く前に「広告事実シート」を作ります。表計算ソフトや文書ファイルの1ページで構いません。次の項目を記入します。

  • 正式な事務所名
  • 資格者名と資格名
  • 所属
  • 実際に対応できる業務
  • 対応地域
  • 料金と追加料金が生じる条件
  • 納期や対応期間について表示できる事実
  • 相談できる範囲
  • 根拠資料を示せる実績
  • 広告で使用できる写真、ロゴ、証明書
  • 各項目の確認者と確認日

分からない項目をAIに補わせてはいけません。「未確認」と記載し、生成時には使用しないよう指示します。実績や料金に条件がある場合は、数字だけでなく条件も一緒に記録してください。

ステップ2―接続元とリンク先の情報を更新する

GeminiとGoogleビジネスプロフィールなどを接続する前に、元の情報を点検します。Googleビジネスプロフィールの管理画面では、事業情報に表示される営業時間、住所、電話番号、Webサイトへのリンク、サービス情報を確認します。

Webサイトでは、広告のリンク先となるページを開き、事務所名、資格者情報、対応業務、対象地域、料金、問い合わせ方法が広告事実シートと一致しているかを見ます。開業直後でリンク先ページをまだ用意していない場合は、広告生成より先に、最低限これらの情報を掲載した案内ページを準備します。

古い情報を参照して生成すれば、文章として自然でも内容が誤った広告案になるおそれがあります。AIの設定より先に参照元を整えることが、生成後の修正を減らす土台になります。

なお、Gemini連携時の情報の保存期間、二次利用範囲、管理者ごとのアクセス制御については、今回の取材では詳細を確認できていません。顧客の個人情報、相談内容、未公開資料は安易に入力せず、最新の利用条件と事務所内の情報管理方針を確認してください。

ステップ3―用途を初稿作成に限定する

最初の試行では、自動公開や大量生成を目標にしません。一つの告知について、広告文を3案、画像を2案など、目視で比較できる数に絞ります。

プロンプトには、広告事実シートの内容に加えて、次の条件を明記します。

  • 提供した事実以外を補わない
  • 成果や許認可の結果を保証しない
  • 官公庁との推薦・承認関係を示唆しない
  • 資格、所属、実績を創作しない
  • 不明な項目は「要確認」と表示する
  • 公開用の完成品ではなく確認用の初稿として出力する

AIが条件に従ったように見えても、出力結果の正確性が保証されるわけではありません。条件は確認を省くためではなく、確認しやすい案を作るために使います。

ステップ4―二段階で確認・承認する

公開前の確認を二段階に分けます。

  1. 制作担当者が、広告事実シートとの一致、誤字、広告とリンク先の整合性、画像内の要素、Google Adsポリシーを確認します。
  2. 資格者または広告主が、業務範囲、資格表示、所属、実績、結果保証や誇大性のおそれ、職業団体の規則に関する確認を行い、最終的な公開可否を判断します。

一人事務所の場合でも工程を省略せず、「制作確認」と「資格者としての最終承認」を時間的に分けて記録します。たとえば、初稿を作った直後には公開せず、リンク先との照合を終えた後に承認欄へ日付を記入する運用です。

個別の規則や法令への適合判断が必要な場合は、所属する単位会や案件に応じた有資格者などへ確認してください。Web制作会社やAIへ最終判断を委ねるのではなく、確認先と承認者を事前に決めておくことが重要です。

ステップ5―生成から承認まで記録する

案件ごとにフォルダを作り、次の情報を保存します。

  • AIへ入力した広告事実シート
  • 使用したプロンプト
  • 生成された文案と画像
  • 採用案と却下案
  • 却下した理由
  • 修正前後の内容
  • 広告とリンク先の照合結果
  • Google Adsの審査結果
  • 最終承認者と承認日

初回評価では、生成した素材の数だけを成果指標にしません。「事実と異なる表現の件数」「誇大または結果保証と受け取られ得る表現の件数」「資格・所属の誤表示」「リンク先との不一致」「人による修正が必要だった案の割合」を記録します。

制作時間を比べる場合は、生成時間だけでなく、事実整理、確認、修正、承認にかかった時間も含めます。修正負担が大きい場合は、プロンプトを長くするだけで対応せず、対象業務を限定する、参照元を整備する、利用をいったん中止するといった選択肢も検討します。

中小企業診断士が利用する場合は個別の確認が必要

中小企業診断士の場合、支援サービスの紹介、セミナーや相談会の告知、販促キャンペーンの案出し、顧客企業へ提示する比較案の作成などに生成AIを利用できる可能性があります。行政書士と同様に、実績や成果をAIに補わせず、根拠資料と照合する工程が必要です。

一方、今回の取材では、登録中小企業診断士全般の広告活動に適用される包括的な広告規程を確認できていません。日本中小企業診断士協会連合会の公開情報では、実務補習中の受講生や指導員を対象とした宣伝に関する遵守規程を確認できましたが、これを中小企業診断士全般の広告へそのまま適用することはできません。

広告へ使う表現の可否は、所属協会の規程、名称や商標の使用条件、景品表示法その他の適用法令、個別の表示内容に応じて確認してください。本記事ではその適否を判断せず、広告制作側で確認対象を記録する方法を扱います。

特に、AIが「売上を○%改善」「支援先の利益が確実に増加」といった成果表示を生成した場合は、公開候補からいったん外します。契約書、報告書、集計条件などの根拠資料と一致し、広告への掲載可否を確認できた内容だけを候補へ戻してください。

中小企業へのDX支援で生成AI広告を提案する場合も、生成機能だけを紹介するのではなく、顧客側の事実資料、リンク先の更新、最終承認者、記録の保存場所まで一緒に設計する必要があると編集部は考えます。

まとめ:生成数ではなく、確認できる運用を作る

Googleの生成AIは、広告文や画像の初稿、販促案、比較候補を作る用途で活用できる可能性があります。しかし、「The Small Brief」は一般提供の広告制作サービスではなく、Googleの生成AI機能も、広告の審査通過、職業団体の規則への適合、制作費の削減、広告成果を保証するものではありません。

行政書士が残すべきなのは、事実確認、誇大表現や誤認のおそれの確認、リンク先との照合、資格者による最終承認です。中小企業診断士も、行政書士と同じ規制があると決めつけず、自身に適用される規程や条件を個別に確認する必要があります。

今日から試す場合は、次の順序で進めてください。

  1. 広告したいサービスまたは告知を一つだけ選びます。
  2. 事務所名、資格、所属、対応業務、料金、地域、実績を広告事実シートへ記入します。
  3. Googleビジネスプロフィールの事業情報と、広告のリンク先ページを開き、事実シートとの不一致を修正します。
  4. 利用するGoogleアカウントの画面と公式ヘルプで、生成機能の提供状況、料金、利用条件を確認します。
  5. 広告文3案、画像2案など、比較できる少数の初稿を生成します。
  6. 制作確認と資格者・広告主の最終承認を分け、広告とリンク先を一組で照合します。
  7. プロンプト、生成結果、修正理由、審査結果、承認者、承認日を保存します。

最初の判断基準は「何件生成できたか」ではありません。事実誤認や誇大表現が何件あり、公開できる状態まで何分の確認と修正が必要だったかを記録してください。その結果を見れば、次回も使うのか、用途を限定するのか、人が最初から作るのかを具体的に判断できます。

出典一覧

  1. Google「See what happens when creative legends use AI to make ads for small businesses.」(2026-05-08)
  2. Google「Save time and grow your business with new Gemini tools」(2026-06-10)
  3. Google「What to expect in digital advertising and commerce in 2026」(2026-02-11)
  4. Google Ads Help「About generated images in Google Ads」(確認日:2026-08-02)
  5. Google Advertising Policies Help「Misrepresentation」(確認日:2026-08-02)
  6. 日本行政書士会連合会「行政書士職務基本規則」(2024-04-01)
  7. 一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士実務補習に係る遵守規程」(確認日:2026-08-02)

この記事はAIが生成し、編集長のチェックを受けて公開しています。

この記事をシェアする